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ダン・ブラウンの世界へようこそ!!!!

コラム 2024.09.24

ダン・ブラウンの世界へようこそ!!!!

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皆さんお久しぶりです。慶應義塾體育會合氣道部二年の山下翔太郎です。夏休みも終わりが近づいていますが、皆さんはどのようにすごしていますでしょうか。私は主に部活、部活、部活…そして読書をしてすごしています。部員の皆様からすれば、あの山下が本を読むわけがない!!と思われてしまうかもしれませんが、実は私、読書は好きなんです。普段は時間がなくて読めていませんが、夏休み中はまとまった時間をとれるので、本をよく読んでいます。
 私が好きな本のジャンルは主に推理小説です。小学生~中学生時代は江戸川乱歩やアガサクリスティーの作品を読んでいました。そんな私が最近読んでいるのは、ダンブラウンという人が書いた作品です。彼の代表作は「ダヴィンチコード」や「天使と悪魔」などであり、映画化もされています。特に私が好きなのはラングドン教授が謎解きを行うラングドン教授シリーズです。私とこの作品たちとの出会いは、この小説をもとに製作された映画です。中学生時代にテレビで放映されていた「天使と悪魔」というバチカンをめぐる陰謀に関する作品があったのですが、これを見た時に子供ながらアクションシーンや謎解きがとても印象に残ったんです。それがきっかけとなり、高校生の時に上記作品をはじめ、学校の図書館にあったダンブラウンの著作を何冊か読みました。

 

 さて、今年の夏休みを迎え、何を読もうかなを考えていたところ、とある部員との話の中でダン・ブラウンの著作の話になり、懐かしさもあり再び彼の作品を読むようになりました。するとびっくり、とっても面白いんです!大学生になり読み返すとまた違った感想を抱きますね。

 

 私が思うダン・ブラウン作品の素晴らしい点は、作品で登場する芸術作品、組織、歴史、科学法則などが全て事実に基づいて記述されている点にあります。ただの推理小説では架空の設定が用いられることが多く、多少無理のある設定も少なくないと思います。しかし、ダン・ブラウン作品では事実に基づいた舞台設定がされているため、作品内での陰謀や隠された秘密が本当にあるかのように思われ、たちまち内容に夢中になってしまうのです。いや、設定ではなく実は作品を通して本当の事実を世間に公表しているのかも…

 また、魅力的な陰謀や秘密結社が登場することも魅力の一つです。ダ・ヴィンチやダンテの作品に隠された秘密、キリスト教に関する秘密、イルミナティやフリーメイソンといった秘密結社…名前を聞いただけで胸が躍りますよね!

 

 ここで、私が好きなダンブラウンの著作をいくつか紹介したいと思います。なお、本編内容にも触れているので、これから読む予定のある方は注意して読んでくださいね。

 

 ①ダ・ヴィンチ・コード

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これはダンブラウンの著作の中でもっとも有名な作品であり、カトリック教会が映画に抗議するなど物議をかもした作品でもあるのです。。ストーリーとしては、ルーヴル美術館の館長であるソニエール館長が殺害されるのですが、両腕足を四方に伸ばし、大の字になって奇怪なダイイングメッセージを残して死んでおり、これを解読するためラングドン教授が操作に協力するところから始まります。その後、ソニエールの残したメッセージにラングドンの名があったことからフランス警察に犯人だと疑われますが、ソニエールの孫娘であるソフィーの助けを得て警察から逃れます。二人はソニエールを殺害した謎の修行僧やフランス警察から逃げながら、様々な謎や象徴を解読していくことになります。

 

↓↓ここから少しネタバレあり↓↓

 

 ダ・ヴィンチ・コードにおいて、ラングドンはソニエール館長が総長を務めていたシオン修道会が守る秘密を解き明かしていくことになります。シオン修道会が守ってきたものとは、聖杯伝説に関する重大な秘密でした。聖杯といえば飲み物を入れるための杯をイメージしますが、本作ではイエス・キリストの血統の存在を聖杯と定義しています。イエスは実はマグダラのマリアと結婚しており、子供がいた!という衝撃の事実とその証拠を守っていたのです。聖杯の杯は真実を隠すための比喩表現だったのですね!(新約聖書ではイエスは未婚とされています。なお、聖杯の象徴にも様々な秘密が隠されているのでとても興味深かったです!!)

 

 ところで、なぜイエスに子供がいたらいけないのでしょうか?宗教教育を受けていない私たち日本人にはこれが重要なのかどうかわからないですよね。私はキリスト教の学校に在籍していたことがあったのでこれを解説すると、もしイエス様が結婚していて子供がいれば、イエス様は神ではなく人ということになってしまうのです。人間であるとなにが悪いのかというと、神であるはずのイエス様が完全に人となってしまい、これまで教えられてきたキリスト教の根幹が崩れてしまうということなんです。

 もう少し詳しく説明すると、三位一体という考えが根底にあるのです。三位一体とは、325年のニケ―ア公会議で採択された、イエスは神性を持つというアタナシウス派の主張がもとになっており、381年のコンスタンティノープル公会議では、父なる神、その御子=イエス、聖霊は神であり、一つであるとされました(ニケ―ア=コンスタンティノープル信条)。つまり、イエスは人であり神でもあるんです。これが、結婚と子供の存在により神性が否定され人間だとされると、キリスト教の教義と矛盾してしまい困るわけです(イエスの神性を否定し人であったと主張したアリウス派はニケ―ア公会議で異端となっている。)

 

 ちなみに、混同する人がいるかもしれないので説明すると、聖母マリアとマグダラのマリアは別の人物です。聖母マリアは受胎告知によりイエスを産んだ母であるのに対し、マグダラのマリアはイエスに従った一行の一人で、十字架による死に立ち会うとともに、三日後に復活したイエスに最初にあった人物でもあります。

 

 少しややこしくなってしまい混乱した人もいるかと思いますが、とにかく、ばれたらキリスト教の根幹を揺るがす秘密を解き明かしていくストーリーっていうことです。ラングドン教授はこの秘密を解き明かすことができるのでしょうか。ぜひ読んで確かめてみてくださいね。

 

 ちなみに、ストーリーのなかでダ・ヴィンチの「最後の晩餐」に隠された象徴に関する話が出てくるのですが、私はこのシーンが好きなので合わせて紹介します。最後の晩餐ではイエスが中央に座り、12人の弟子が左右に座っています。これが通常の見方なのですが、本作の解釈ではイエスの左側に座る人物が女性だとしています(12人の弟子は全員男性で、この位置にはヨハネが描かれていると解釈するのが一般的)。たしかに女性のような顔立ち、振る舞い、身体つきであるともいえます。ダ・ヴィンチが男性女性の描き分けが苦手だったとは思えないので、あえて女性のような風貌に描き上げたといえないでしょうか。また、二人の姿があるアルファベットを構成しているとも捉えることができます。それは、Mです。Mといえばmarriageの象徴です。これに加え、二人の衣装が対照的になっていることや、配置をずらすとイエスにその人物が寄りかかるような姿勢になることも確認できます。そして、この女性のような人物はマグダラのマリアの可能性が高いと考えることができます。なぜなら、20世紀に発見されたナグ・ハマディ写本におけるフィリポによる福音書に、イエスはマグダラのマリアをどの弟子よりも愛しており、彼女を伴侶としていたという趣旨の文章が存在するからです(新約聖書の中には含まれておらず、外典の扱い)。これだけでも、とても興味がわきますよね。私たちが日々目にする有名な絵画にも、解釈の仕方次第で様々な見方があり面白いです。
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このほかにも、秘密が隠された詩の数々も興味深いです。例えば、

 

 In London lies a knight a Pope interred

 His labor`s fruit a Holy wrath incurred

 You seek the orb that ought be on his tomb 

 It speaks of Rosy flesh and seeded womb

 

教皇の葬った騎士がロンドンに眠る

彼の者の果は神の怒りを被る

その墓を飾るべき球体を探し求めよ

それは薔薇の肉と種宿る胎とを表す

 

単純に考えれば、教皇が葬った騎士の墓がロンドンにあり、その騎士の成果は教会を怒らせた。その墓を飾るべき球体を探し出せばよいのです。最後の行は、イエスの子を宿したマグダラのマリアを示しています。しかし、この単純な詩にも隠された意味があり、固定観念にとらわれている限り解読することはできないのです。例えば、pope=教皇という風に解釈するのは正しいでしょうか?

 

また、このような詩もありました

 

The Holy Crail ` ancient Roslin waits

The blade and chalice guarding o`er Her gates

Adorned  in master`s Loving arts, She lies 

She rests at last beneath the starry skies

 

聖杯はいにしえののロスリンの下で待ち

その門を剣と杯が守る

匠の芸術に囲まれて横たわり

ついに星の輝く空のもとに眠る

 

聖杯の在りかを示す詩となっているのですが、これはとんでもない伏線でもあるんです!例えば、ロスリン(Roslin)のスペル一つにも大切な意味があるんです。最後にラングドン教授が詩を一節ごとに読み上げながら答え合わせをしていく様子は本当に圧巻です。これに関しては小説版より映画版をお勧めしたいです。壮大な音楽とあわせていろいろな意味でびっくりさせられ、ピースが埋まっていく様子に感動すると思います。本当に詩の意味の通りなのですから!!
とにかく、映画のラストシーンは必見です!!!

 

 

 


②天使と悪魔

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ストーリー

 

新しい教皇を選出するためのコンクラーベを行うことになったカトリックの総本山ヴァチカンで、候補者である枢機卿たちが誘拐される事件が発生。ヴァチカンの依頼で調査に乗り出した宗教象徴学者のロバート・ラングドン教授は、教会に迫害された科学者たちが創設したという秘密結社イルミナティが、再び現代に姿を現したのではないかと推理する。犯人はスイスの研究所から恐るべき破壊力を秘めた反物質を盗み出し、ヴァチカンの爆破をも計画。ラングドン教授は美人科学者のヴィットリアの助けを得て、謎に包まれたこの事件の真相に迫っていく。(sony pictures 公式サイトより)

 

この作品における大きな魅力の一つは、まず舞台がヴァチカン・ローマであることです(ちなみに、私の一つ目のコラムでは本作に登場したヴァチカンについて記述しています)。サンピエトロ大聖堂やパンテオンなどの歴史的建築物がでて来ることに加え、キリスト教関連のイベントも盛りだくさんです。今回のストーリーはコンクラーベの最中が舞台なのですよね。個人的にキリスト教文化には並々ならぬ興味があるのでとても楽しめました。また、なにより今回はイルミナティが登場するんです!胸が躍りますね!!!!

 

なお、コンクラーベとはカトリック教会の次期教皇を枢機卿が投票で選ぶ手続きを言います。ちなみに、キリスト教には大きくカトリックやプロテスタント、聖公会などのくくりがあり、カトリックではバチカンのローマ教皇を中心に司教・司祭・助祭といった階級があります。枢機卿は司教の中から任命されます。

 

 

いろいろと書きたいのですが、①だけで相当量の分量になっているので、やむなく割愛いたします…。とにかく、本当に面白いのですぐにでも読んでいただきたいですね。ちなみに、映画版もおすすめです。映画版は小説とはまた違った雰囲気を楽しむことができ、二重に面白いです。

 

 

 

 

③インフェルノ

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ストーリー

 

本作はラングドン教授がフィレンツェの病院で記憶喪失になった状態で目覚めたところから始まります。その後、病院が襲撃されラングドンは窮地に陥りますが、医師であるシエナの助けを得て難を逃れます。ラングドンが所持していた物品にはプロジェクターの役割を持つ謎の円筒印章があり、それが映し出したのはダンテの「神曲(地獄篇)」をもとに製作されたボッティチェリの「地獄の見取り図」でした。これは地獄に落ちた人々が各階層でもがき苦しむ様子を描いたものなのですが、なぜか人の手が加えられていて地獄の順番が入れ替えられていました。記憶喪失になってしまったラングドンには、なぜ自分が襲撃されたのか、なぜこのような品物を所持しているのか、なぜイタリアにいるのか心当たりがありませんでしたが、イタリア警察や謎の組織、襲撃者などから逃亡しながら、シエナとともにこのアイテムの謎を解読しながら行動を開始します。ラングドン一行は謎を解く中で、世界の人口増加に警鐘を鳴らしていたゾブリストという大富豪で生化学の第一人者でもある人物が関与していることを突き止めます。どうやら、彼は不穏な計画をもっており…

 

本作の特徴的な点は、まずラングドン教授が記憶喪失状態で登場することです!したがって現在置かれている状況がラングドン教授にはわからないので、私たち読者も緊迫した状況や謎に考えを巡らせながら楽しむことができます。また、記憶喪失であるため誰が味方で誰が敵なのか、だれを信用していいかもわかりません。意外な人物が物語のキーパーソンだったりするのです。小説では(映画でも)読者を惑わせるミスリードが用意されており、だまされる人が続出すると思います。次に、舞台がフィレンツェやヴェネツィア、イスタンブールという魅惑的で伝統ある都市であることも注目に値します。ダンテの詩にしたがって各地の教会をめぐる様子は、現地に行く機会があれば聖地巡礼をしたいと思わせるような面白さがあります。

 

本作でカギを握るのがダンテという人物なのですが、彼の詩や関連する絵画をここまで伏線にできるダン・ブラウンは本当にすごいと思います。その一言に尽きます。

こちらにも小説・映画が存在するのでぜひ読んで(見て)みてくださいね。
ちなみに、映画と小説でラストが異なります!!読んで、見て二度楽しめます!

(私は小説版のほうがどちらかといえば好きですね。残りページ数が少なくなっていくにつれて自分の予測とは異なる方向へどんどん進んでいく様子が衝撃的でした。ラストもありきたりなものではなく、現在世界に生きる私たちの課題について考えさせられるようなものでした。うーん深い)

 

 

 

 

 

 

ここまで長々と書き記してきましたが、最後までたどり着けたでしょうか?(笑)

なんとこの文章、6000字もあるんですよ!!!とある有名な歴史の授業で提出するレポートですら5000字ですもんね!片山先生もびっくりですよ(たぶん)。文章がおかしくなっている箇所もあるとは思いますが、最後までお付き合いいただきありがとうございました。皆さんも本を読みましょう!本は友達!

 

慶應義塾體育會合氣道部二年 山下翔太郎

 

 

 

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